採用のミスマッチによって早期離職が起こってしまう理由として
「企業側が会社のリアルを事前に伝えることができていなかった」ことが大きな理由として挙げられます。そのため、採用の過程でしっかりと会社の現状や実際の業務内容を伝えることが重要です。
今回は、採用ミスマッチによる早期離職を防ぐための対策をお伝えします。
本記事の執筆者
採用のミスマッチによって早期離職が起こってしまう理由として
「企業側が会社のリアルを事前に伝えることができていなかった」ことが大きな理由として挙げられます。そのため、採用の過程でしっかりと会社の現状や実際の業務内容を伝えることが重要です。
今回は、採用ミスマッチによる早期離職を防ぐための対策をお伝えします。
本記事の要約
はじめに、採用段階で「会社のリアルや実際の業務内容」を伝えることで早期離職率が劇的に改善した会社の事例をお伝えします。
ある小売店の事例ですが、その会社では応募者の多くが「商品開発をやりたい」という動機で入社してきます。
しかし、実際には商品開発の部署に配属される人数は少数です。さらに、商品開発の部署にいきなり配属されることはなく、すべての新入社員が最初は店舗勤務を経て、入社2年目~7年目あたりは店舗のスーパーバイザーとしての業務を担当します。
事前に新入社員は必ず店舗勤務があることはわかっていても、商品開発を希望していた新入社員の方にとってはやりたい仕事とは違うため、商品開発の部門に配属される前に、スーパーバイザーの期間での離職が多くなっていました。
そこで、この会社では離職率改善の対策として、採用時のアピールポイントを変更しました。具体的に訴求したポイントは
・スーパーバイザー仕事のやりがい
・スーパーバイザーの仕事が会社の根幹を支えていること
などをしっかりと伝えるようにしました。スーパーバイザーは嫌な仕事や商品開発部門にいくための修業期間ではなく、スーパーバイザーこそ会社の花形という打ち出し方にしたのです。
商品開発ではなく「スーパーバイザー」の業務内容を伝えることで応募者数自体は減りましたが、入社を希望する方は会社の現状や実際の業務内容を把握しており、またスーパーバイザーのやりがいに共感している方が増えたため早期離職率は劇的に改善をしたそうです。
この事例からも分かる通り、採用ミスマッチによる早期離職を防ぐためには、入社後の仕事内容のリアルな部分をきちんと伝えることが大切です。
それでは、ここからは採用のミスマッチによる早期離職を防ぐための具体的な対策をお伝えします。
1つ目の対策は「入社1年目から3年目ぐらいに何をするのかを伝える」ことです。先ほどの小売店の事例のように「最初はスーパーバイザーとして現場での業務になります」など入社後の仕事をしっかりと伝えることが大切です。
例えば、我々のお客様では具体的に次のような伝え方をしてもらっています。
・「最初は全員営業に配属になり、営業経験を積んでもらいます」
・「入社後1年は、現場で施工の仕事を経験します。短い人で1年、長い人は2年半は施工管理の仕事です。」
会社によっては商品開発やマーケティングなどの「人気の職種・人気の職場」だけをクローズアップして紹介をする会社もあります。確かにその方が応募者数は増えるかもしれません。しかし、入社後に人気の職種に配属される社員はごく少数であり、ほとんどの社員は実際の業務内容とのギャップを感じてしまうため採用のミスマッチによる早期離職は起こりやすくなってしまいます。
早期離職を防ぐためには「ほとんどの人が最初の1年から3年の間にやってもらう仕事の内容」についてしっかり伝えることが重要なのです。
また最近では、総合商社が「配属先に希望通りに配属された人の内訳(第一希望が通った人が何%、第3希望以内だった人が何%)等」を公表して話題になりました。
こうした入社後の配属先や実際の業務などの情報を採用の段階から伝えることは入社後の業務内容とのギャップで離職する方を減らすことにつながるため、積極的に開示してみてください。
2つ目の対策は「現場の社員から会社についての正しい情報を伝えてもらう」ことです。
会社の説明は人事の方が行うことが多いと思いますが、今働いている現場の社員の方々が、その方自身の言葉で伝える場を設けることが大切です。
伝えるべき内容としては、
・会社の良さや仕事のやりがい
・仕事の大変さ、苦労したこと
・自分が仕事を通じて得られたスキル
など現場の社員の方しか語れないような業務経験などを語ってもらうようにしましょう。
伝える場については、例えば入社希望者との座談会などを開き、その中で社員の方が生の言葉で会社について話す場を設けてもいいでしょう。また、対面で話す時間をつくることが難しければオンラインでのビデオ通話などを利用してもいいかもしれません。
インタビュー記事などを通じても社員の方の声を入社希望者に届けることはできます。しかし、実際に会って話をしてみることで会社の雰囲気や社風などがより深く伝わり、入社後のミスマッチを防げると私たちは考えてます。
会社について伝える際には、社員の方自身からリアリティーのある言葉、生の言葉で語ってあげてください。
3つ目の対策は「会社の悪い部分もしっかりと伝えていく」ことです。
説明会などで会社の良い部分やうまくいっている事例だけ見せてしまうと、入社後に悪い部分が見えたときに、そのギャップで離職につながってしまうケースをインタビューを通じてよく耳にします。
当たり前の話ですが、完璧な会社はありませんし、どの会社も何らかの課題は抱えています。大切なことは、
・会社の課題をしっかり認識していること
・課題解決にむけて取り組んでいること
これらを就活中の学生に伝えてあげることです。
「課題」や「悪い部分」を伝えることで、逆に応募者が殺到した事例があります。次の文章は、南極探検隊を集めるときに、応募が激増したという新聞広告です。
求む隊員 至難の旅
わずかな報酬
極寒
暗黒の日々
絶えざる危険
生還の保証はない
成功の暁には、名誉と賞賛を得る
この文章を新聞に載せたところ応募が殺到したという話があります。
広告文の中には、南極探検隊の悪いことや大変なことたくさん書いています。ただ、最後に苦しいことや辛いことを乗り越えた先に「成功の暁には名誉と賞賛を得る」と謳っています。
きちんと「悪い部分」を伝えた上で、それを上回るものがあると伝えることで人の心を動かした好事例だと思います。
会社を説明する際にも同じことが言えます。
入社後の「大変なことや厳しいこと」を説明した上で、それを上回るだけの良いことや楽しいことがあることを事前の募集の段階で伝えることが、非常に大切です。
採用前に「良い部分だけではなく悪い部分や厳しいこと」について、しっかりと伝えることは採用のミスマッチを防ぐことに大きくつながります。みなさんの会社でも、ぜひ取り組んでみてください。