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「俺の背中を見て育て」と人材育成が難しくなっていることは、多くの方が感じていることだと思います。
仕事で求められるスキルの多様化と高度化、さらには求められるスキルの変化のスピードが非常に速い昨今、育てる側も「俺の背中を見ろ」と言っている余裕がないのが実情だと思います。
ただ、変な言い方ですが、そんな時代だからこそ「背中を見せて育てる」心構えが管理職にも必要なのではないかと、私は感じます。
上司や先輩のカッコイイ背中が成長予感をつくる
早期離職に至る三大要因が「存在承認」「成長実感」「成長予感」であることは、ブログやメルマガで以前からお伝えしてきました。
三大要因のうち二つが「成長」に関するものです。
特に、最近は早期離職者の方にお話を聞くと「成長予感」の不足が決め手になったケースが多い印象があります。成長予感とは、この会社にいることで自分のなりたい将来の到達できるかという見通しです。大企業で一般的には優良企業と言われる会社を早期離職する場合、成長予感不足で辞めていくことが多いというのが私の印象です。
また、ある大企業の人事担当者の方は、「優秀だと思っていた新人ほど早期に辞めることがあるけど、たぶん成長予感不足だと思う。」と言っていました。
大企業を早期離職した人たちに話を聞くと共通して出てくるのが、
「上司に憧れなかった」
「上司の姿は自分がなりたい将来の姿ではなかった」
という言葉。
会社自体は悪い会社ではない。給料や人間関係にもそこまで大きな不満はない。それでも、この会社に勤め続けることで迎える未来を受け入れたくない。そんな気持ちなのではないでしょうか。
仕事ができるだけでは「背中で語る」ことはできない
背中を見せて育てることは難しいかもしれませんが、部下や後輩から「あんな風になりたい」と思われる背中を見せることはできると思います。そのためには、仕事だけではなくて、人格的な部分がみられることもあります。私がインタビューをした方でこんなことを言っている方がいました。
「仕事はめちゃくちゃできて社内でも尊敬を集める上司だった。自分も憧れていた。でも、ある日一緒に営業同行したときに路上喫煙禁止の看板の目の前で煙草を吸ってポイ捨てしたのを見て、この人にはついていきたくない、この人が尊敬を集める会社にいたくないと思いました。」
ちょっと極端な例かもしれませんが、仕事ができることだけが「背中で語る」ことではないはずです。
早期離職対策といっても企業によって抱えている問題が違うので対策は変わってきます。学生からの人気が高く、比較的優秀層が入社するにも関わらず退職してしまうようなケースの場合、福利厚生や人間関係などはそれほど悪くない場合もあります。
そんなときは「上司や先輩社員が新人に見せて恥ずかしくない背中をしているか」という視点から社員のあり方を考えてみるのも必要だと思います。
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