3年以内離職とセットで語られる「ミスマッチ」
若手社員の3年以内の離職(早期離職)の問題が取り上げられるときによく出るキーワードの一つが「ミスマッチ」です。
・「ミスマッチ」をなくすための活動
・いかに「ミスマッチ」を防ぐか
など、「ミスマッチ」を減らすことが早期離職防止のために重要な事項であることがまるで前提条件かのように書かれています。本当にミスマッチを減らせば早期離職は防ぐことができるのでしょうか?
そもそもミスマッチとは何なのかということも重要です。マッチングしなかったから「ミス」マッチなわけですが、就職活動をして内定を経て入社しているのであれば、その時点では一度マッチングしています。
ミスマッチが顕在化するのは、実際に入社して仕事を始めてから企業か個人のどちらか、または双方が「こんなはずではなかった」と思う瞬間です。ということは「実際と想像とが違っていた」ということがミスマッチであるともいえます。
なぜ、ミスマッチが起こるのか
ミスマッチが起こる理由として考えられるのは、
1.どちらか(またはどちらも)が嘘をついていた
2.お互いを過大評価(過小評価)していた
3.情報がうまく伝わっていなかった
4.採用選考時と状況が変化し実際の業務内容などが変化した
などが挙げられます。
一般的にミスマッチの防止というと1~3に対しての施策が打たれているのではないでしょうか。
確かに大切なことです。
一方で、4の採用選考時と状況が変化し実際の業務内容などが変化したという点がミスマッチの理由として挙げられることは、1~3に比べると多くはないと思います。最近では内定後にリーマンショックが起きた2009年卒のときに「内定切り」や「入社後の自宅待機」などが話題になりました。私は2008年入社だったのですが、私のいた会社でも一つ下の2009年卒は過去最大の新卒採用を行ったものの、OJTができるコンサルティング案件が少ないために一時的に社内ニート状態になってしまっていた後輩もいました。これも「実際と想像が違っていた」というミスマッチの事例にあたります。
ミスマッチをなくすことが大切なのは間違いない
採用時、入社時のマッチングは非常に大切なことだと思います。でも、採用でマッチングに腐心する割にはその後の働き方や人間関係などについてはマッチングに無頓着な企業が多いと感じます。入社時のマッチングによって入社後1~2年の離職の防止には一定の効果があると思います。
しかし、最初の1~2年でマッチングすればその後はミスマッチが起こらないわけではありません。むしろ、新卒で採用し育成した優秀な人材が働き盛りのタイミングで外部に流出してしまう方が会社にとっての不利益は大きいと思います。
大切なのは「こんなはずじゃなかった!」と思われるミスマッチが起きない、起きても対処できるマネジメント体制や人事管理、そして、社員一人ひとりが力の発揮できる環境が用意でる経営状態や体制づくりだと私は思います。