毎年様々な会社から発表されている、就職人気ランキング。
会社の人事に関わる方や就職活動をしている方は、最近の結果が気になるのではないでしょうか。
しかし就職人気ランキングで上位になった会社が、10年後や20年後にも上位に名前が残り続けるとは限りません。
社会の変遷にともなって、人気が出る会社も移り変わっていくのです。
この記事では、1980年から2020年までの10年ごとの就職人気ランキングの変遷を紹介します。
本記事の執筆者
毎年様々な会社から発表されている、就職人気ランキング。
会社の人事に関わる方や就職活動をしている方は、最近の結果が気になるのではないでしょうか。
しかし就職人気ランキングで上位になった会社が、10年後や20年後にも上位に名前が残り続けるとは限りません。
社会の変遷にともなって、人気が出る会社も移り変わっていくのです。
この記事では、1980年から2020年までの10年ごとの就職人気ランキングの変遷を紹介します。
本記事の要約
今回紹介する就職人気ランキングは、株式会社マイナビが作成したものです。
就活生を対象に調査したもので、1978年から40年以上続く歴史あるランキングになります。
上位に入ると、次年度の就活生からさらに人気が出ることもあります。
人事担当者にとっては、毎年の順位が非常に気になるランキングだといえるでしょう。
今回は、1980年から2020年まで10年ごとの就職人気ランキングを紹介します。
なお2020年の調査は、コロナ禍の直前に行われたものになります。
コロナ前後におけるランキングの変化については、別の記事でも紹介しています。そちらも合わせて参考にしてください。
こちらの記事の内容は、動画でも解説しています。こちらもぜひご視聴ください。
はじめに、1980年調査からみていきましょう。
1980年度での調査なので、調査対象者は翌年の1981年3月卒業予定者になります。
これ以降も同様に、調査対象者は翌年3月卒業予定者です。
1980年の文系では、次のような結果になりました。
文系総合ランキング
1位から3位に三菱商事、公務員、三井物産がきていることから、1980年では商社と公務員が人気だったことがわかります。
一方理系では、次のような結果になりました。
理系総合ランキング
理系では、上位の5社が電機系の会社になっています。
さらに6位に続くのは、自動車メーカーの日産自動車になります。
自動車メーカーといえば現在はトヨタが有名ですが、この頃は日産自動車が人気ランキングの上位に入っているのが特徴です。
文系では商社・公務員、理系では電機メーカーが人気という結果になりました。
文系・理系とも、1位から3位の会社を太字で表しています。この年に上位だった会社が、これからどのような順位になっていくのかにも注目していきましょう。
次は、1980年から10年後の1990年調査です。
文系では、次のような結果になりました。
文系総合ランキング
文系では1位が全日本空輸(ANA)、2位が前回1位だった三井物産になりました。
今回のランキングでは、三井物産以外で1980年に上位だった会社は入っていません。
一方、理系のランキングは次のようになりました。
理系総合ランキング
理系では日本電気(NEC)やソニー、富士通などの電機メーカー系がやはり上位に上がっています。
前回1位だった日立製作所は7位に落ちてしまいましたが、10位内には入っています。
さらに、8、9、10位に自動車メーカーが新たにランクインしているのも、この時代の特徴といえるでしょう。
1990年のランキングは、1980年に比べて大きく変化していました。
中でも文系において、1位に全日空が入っていることや前回は見られなかった銀行系が上位に来ていることが1980年とは異なる点です。
1990年は、経済が好調だったバブルの終盤にあたります。この後バブル崩壊を迎えることになるのですが、10年後にはどのような変化が訪れているのでしょうか。
1990年の後まもなくバブルが崩壊し、10年後の2000年。つまり、2001年3月卒業予定者の調査結果になります。この世代は、いわゆる就職氷河期世代といわれています。
20年前の1980年に上位10位へランクインしていた企業は、文系・理系とも全て名前が消えています。
文系の結果からみていきましょう。
文系総合ランキング
2020年の1位はJTBです。1980年でも交通公社の名前でランクインしていましたが、ここからJTBは人気ランキング文系上位の常連になっていきます。
日本航空や近畿日本ツーリスト、全日本空輸などの旅行系が上位に多くランキングしています。
またさらに、10位に出版社である講談社が入ってきているのも特徴です。
この結果を見て、気がつかれたでしょうか。ベスト10に入る会社に、1980年には人気だった商社が一つもなくなっているのです。
1980年ではトップだった三菱商事や、1990年代では上位だった伊藤忠商事などが全て姿を消し、商社がベスト10に入らない時代がやってきました。
続いて、理系をみていきます。
理系総合ランキング
理系では化粧品メーカーの資生堂やIT系のNTTドコモ、自動車系が上位に入り、今まで人気が高かった電機系の人気が翳ってきた傾向です。
2000年では文系・理系ともに、JTBや資生堂、ベネッセ、講談社といった、商品を実際に手に取る機会が多い身近な企業が上位にきているのが特徴です。
それでは次の10年後、2010年の人気ランキングがどうなったかみてみましょう。
文系総合ランキング
JTBは10年前と同じく1位となり、2位以下に資生堂、全日空、オリエンタルランドとB to Cの企業が続いています。これは、2000年とほぼ同じ傾向といえます。
また5位に三菱東京UFJ銀行、8位三井住友銀行と銀行系が上位に入っているのも特徴でしょう。
商社に関しては、2000年と同じく上位には入っていません。
一方理系では、次のような結果になりました。
理系総合ランキング
上位に味の素、カゴメ、明治製菓が入っています。2000年代の中盤あたりから、理系の人気は食品メーカーに移ってくるのが顕著になります。
1980、1990年では電機系メーカーが人気だったのが、食品メーカー人気に変わるというのが2010年の大きな特徴になります。
次は2020年、コロナ直前に行なった調査になります。
文系総合ランキング
文系では、1位に旅行系であるJTBがランクインしています。
この調査を行なったタイミングではまだコロナがあまり広がっていなかった、あるいはそこまで深刻な状況ではなかったことが影響していると考えられます。
それ以下を見ても、全日空や日本航空、オリエンタルランドなどレジャー・旅行系が上位に多く入ってきています。
一方、理系はどうでしょうか。
理系総合ランキング
理系では味の素、カゴメ、明治グループなどの食品系が2010年と変らず上位に入ってきている一方、しばらく出てこなかった富士通や日立製作所といったITインフラ系が上位にはいるようになりました。
さらにこの後、コロナ禍で状況は大きく変わっていくのですが、それはまた別の記事で紹介しています。
時代によって人気企業は変わっていき、40年以上上位を維持する企業はごく少数です。
これからの時代は、果たしてどうなっていくのでしょうか。
確実に言えるのは、今人気の会社が今後どうなるかはわからないということです。今はまだない会社や知られていない会社が、上位になることも充分ありえるのです。
この記事を読まれている方は企業の人事担当や管理職、転職希望者、就職活動生かと思います。
これを見て、自分の行動をどのように変えていくかは皆さん次第です。
このようによく見かける人気ランキングでも、時代の推移とともに見ると面白い発見があります。
他のデータも時代ごとに比較してみると、新たな知見が得られるかもしれません。