昨日のブログで残業時間と早期離職の関係についてお伝えし、ワークライフバランスと早期離職の間に関係はないのかもしれない?という話をしました。
ただ、ワークライフバランスの実現度を示す指標は残業時間だけではありませんので、本日は有給消化日数と早期離職の関係をお伝えします。
例によって今回も就職四季報2016年版の「通信・ソフト」に分類されている企業が対象ですので、悪しからず。
(暇をみつけては他のデータも見ているので、どこかのタイミングで業界比較はできると思います。)
有給消化日数と新卒者の3年以内定着率を表したのが以下のグラフです。
はい、今回もバラバラな分布で特に相関関係は見出せませんでした。
つまり、残業時間を削減しても、社員に有給休暇を与えても早期離職は防げない可能性があるということがこのグラフからはわかります。
こんなことを言うと「私の知っているA社は残業時間20%減で離職率が減った!」と主張してくる方がいらっしゃるのですが、そりゃそうですよねという話です。模試の判定でE判定で第一志望に合格する子だっています。それは個別の事例です。でも全体の傾向としてはA判定の子の方が合格率高いんです。全体傾向の話をしているときに個別事象持ち出されても議論になりません。
実際、私のお客さまでも残業時間が減って早期離職率も下がった企業はあります。ただ、残業時間が減る過程で数値化できない変化があるかもしれないわけで、残業時間の削減が直接的な要因かどうかはわからないわけです。
昨日、今日の記事でワークライフバランス推進を攻撃するつもりはありません。
ただ「なんとなくそんな気がする」とか「真実であるかのように語られている」ことを疑う大切さは持ってもらいたいなと思っています。
企業の人間だけでなく、大学生や転職を考えている人など多くの人にです。
就職四季報は2000円も出せば誰でも購入でき、今回私が行った程度の分析はすべてエクセルで可能です。
世の中にはキャリアカウンセラーの資格者が増え、良くも悪くも就活生を支援するサービスが数えきれないほどあります。また、企業向け個人向けのサービスを問わずコンサルタントと言われる人も巷にあふれています。
中には、今回私が行った程度の分析もせずに世の中で「真実であるかのように語られている」ことを企業や大学生に教え込んでいる例も散見されます。
そういった悪徳業者に騙されないためにも、自分の人生の選択にあたっての情報は自分で集めて分析してみるべきだと思うのです。