以前、ライターをしているWebマガジンのPlus-handicapに「インターンするくらいなら、マックで4年間バイトしろ」という記事を投稿してプチ炎上したことがありました。賛否両論入り乱れていたのですが、全体の傾向としては経営者や採用担当の方は賛成が多く、実際にインターンをしている大学生やNPO関連の方からは批判が多かった気がします。

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そして、この記事は私が仕事上で自己紹介をするさいにも自分の主張を知ってもらうためのネタとしてよく紹介します。非常に共感してくれる方もいれば、うかない反応の方もいます。うかない反応の方は、きっと私の意見には反対なんでしょう。それか、そもそも私に興味がないか。
記事を書いたのはもう半年以上も前ですが「インターンするくらいなら、マックで4年間バイトしろ」という考え方は今も変わっていません。むしろ考えは強まっていて、企業はインターンに頼りだすとダメなんじゃないかというのが、最近の私の考えです。

あらかじめ断っておくと、まだ自分の中での考えは整理しきれていません。ただ、こうして文字にしてブログに書くことで自分の考えもまとまるんじゃないかと思って書いています。そのため、来週にはまったく違うことを言っている可能性もあることはご了承ください。

さて、なぜインターンをつかいだすと企業はダメなのかと言えば、大きく以下の3つの観点からです。

1.財務的視点 お金がないから無償の労働力としてインターンをつかっている
2.業務的視点 業務の質にあまりこだわらないからインターンをつかえる
3.教育的視点 教育するのが面倒くさい、スキルがないからモチベーションが高そうなインターンをつかう

ひとつずつ見ていきましょう。

1.財務的視点 お金がないから無償の労働力としてインターンをつかっている

これは、創業当初の私もやってましたし、私の前職でもやってました。アルバイトに払うお金がないんです。もちろん、いい仕事をしてくれるならお金は払います。完全成果報酬とかね。でも、実際は仕事をやってみるまでその人の能力なんて正確にはわかりません。また、会社の利益につながるかどうかは本人の能力以外の要素も関係します。ですから、利益が出るまでお金を払いたくないんです。そんなときにうってつけなのがインターンなのです。
でも、当然、お金がない会社にはいい仕事はありません。そして、そんな会社がインターンに任せられるのは雑用だけ。そして、日々のお金に困ってるからインターンにかまっている余裕はありません。結果、せっかく入ったインターンも長続きはしないことが多く、辞めた人たちからの口こみで悪評が広がってしまいます。
実際、私が知っているNPOでもお金がないからインターンを大量募集して仕事を回していましたが、ほとんどがいざこざで辞めてしまい、今では代表の悪評が広がってしまっているところもあります。そのNPOの場合は何人かの優秀で代表ともウマの合うインターンが支えて今では順調な運営をしているみたいですが、お金がないからインターンの発想はやはり危険だと思うのです。

2.業務的視点 業務の質にあまりこだわらないからインターンをつかえる

「面倒くさい仕事はインターンにやらせとけ」的な発想をする会社や団体も少なくありません。当然、そんなところでインターンをやらされたらたまったものではありませんね。使う側も「所詮インターンだから」と思ってます。私は思ってました。
そういった会社・団体はリスク管理についても甘いことがあります。最後はインターンのせいにすれば済むと思っているんですね。しかし、実際は当然ながらそうはいきません。企業・団体の名前を使った以上、組織として責任をとる必要があります。そんなこともわからずにインターンが入れば雑用が減ると思ってつかっているところは少なくありません。
また、仮に雑用であっても本来は業務を見直してより効率的、効果的に業務を進めるための方法を考えるべきですし、意外と雑用の業務効率化が会社の競争力になることもあります。インターンを使い捨てながら雑務を回しているとそういうせっかくのチャンスをも逃してしまっていることになります。
特に、短期のインターンを時期ごとに入れ替えている場合には、ノウハウの蓄積という面でかなりの損失ではないでしょうか。

3.教育的視点 教育するのが面倒くさい、スキルがないからモチベーションが高そうなインターンをつかう

うちは、上記の1でも2でもない!インターンの夢の実現のための会社でインターンシップという場を用意しているんだ!という方もいるでしょう。
本当にそうなんですか?
本当ならごめんなさい。私みたいな人間の出る幕ではありません。
でも、多くの場合は社会人経験を積んでみたいというインターンの言葉に会社や団体側が甘えているだけではないでしょうか。
ただ、組織が大きくなれば仕事量が増え、みんながみんな好きな仕事だけをやっている状態にはなりません。ベンチャーの場合だと将来性を買って格安で雑務をアウトソースで受けてくれる人や、代表がなくなく自分でやっているかもしれませんが、ある程度の規模になったらそうはいきません。そんなとき、それまでインターンの夢を踏み台にしていた組織がうまく人をマネジメントできるんでしょうか?
個人的には、ある程度の規模までは勢いよく成長していたNPOが軒並み停滞するのはココが原因ではないかと思っています。
ちなみに、最近はNPOでも「うちは事業型NPOです」とか「従業員100名規模のNPOにしたい」と言っているところも少なくありませんが、正規雇用では10名以下であとはインターンで回しているところが多い印象があります。


インターンは効果的な面もある一方で使い方を間違うと、使う側も使われる側も不幸にしかならない可能性もあると思います。
最近はインターンシップの求人サイトも増えてきました。そういったサイトを否定するつもりはありません。インターンという仕組みが絶対な悪でもありません。でも、運用方法を間違えると何の効果も生まないばかりか、不幸な結果を生む可能性があるのです。
「お前がインターンを使えない無能な奴だからだ」と言われれば、確かにその通りでしょう。でも、世の中にはインターンをうまく使いこなせる有能な方々ばかりなんでしょうか?インターンを無償の労働力と考えない素晴らしい思考の方々ばかりなんでしょうか?
敢えて、インターンの負の側面に目を向けることで、インターンの価値を労使双方にとって上げられると思うのです。