大規模アンケートだけではわからない「早期離職の理由」
インターネット上で少し検索すれば、早期離職に関する調査データは数多く出てきます。就転職のナビサイトが大規模に実施しているものであれば、数万人規模の調査も珍しくありません。離職理由についても詳細な調査がされています。
ただ、こういったインターネット上の調査での「離職理由」を見るときは少し注意が必要です。なぜなら「離職理由」には「辞めようと思ったきっかけ」から「辞めると決断した決め手」までの間に感じた会社への不満が含まれるからです。
退職に至るまでの「きっかけ」と「決め手」は違うことが多い
私が数百人にインタビュー調査をして感じたのは、「辞めようとおもったきっかけ」と「辞めると決断した決め手」は違うケースがほとんどです。また、人によってはきっかけから決め手までが1年以上の方も少なくありません。中には「内定式に出席して辞めようと思った」という人もいます。
インターネット上の調査の場合、きっかけと決め手は区別されませんし、回答する本人もうまく整理できていないことが多いです。特に転職活動をしている場合は、転職の面接対策で離職理由をキレイにしているため、いつのまにか本人の中で嘘が本当になってしまっていることさえあります。そのため、インターネット上の調査における「離職理由」は、「きっかけ」から「決め手」の間で一番印象に残っている会社への不満が回答されている可能性が高いと私は考えます。
これは、恋人同士が付き合ってから分かれるまでのプロセスと似ています。最初は好きだったのに、何かのきっかけで「ちょっとこの人とは無理かも」と思い始めます。そうなると、今までは気になっていなかった点まで気になり始めてしまうことはありませんか?
例えば、しゃべり方、笑い方、友人への態度、デート先の選定、収入、プレゼントなどなど。
そして「もう無理!わかれる!」と決断する瞬間がやってくるわけですが、決断する決め手は必ずしも「この人とは無理かも」と思い始めるきっかけとは同じではないと思います。さらに別れたあと、友人に「何が嫌だったの?」と聞かれ、すぐにこたえるのはきっかけでしょうか、決め手でしょうか。
きっかけでも決め手でもないけど、日常的に頻繁に起こっていたできごとや、直近で気になったことをこたえることもあるのではないでしょうか。
離職理由は「きっかけ」と「決め手」に分けて把握しましょう
恋愛の話に例えましたが、早期離職も構造は同じです。「きっかけ」と「決め手」以外のことも改善の余地はありますが、
最優先で改善すべきは「きっかけ」や「決め手」になったことです。それ以外の不満要素は「きっかけ」さえなければ気にならなかったことかもしれません。
効果的・効率的に早期離職対策をするのであれば、まずは離職理由の「きっかけ」と「決め手」に絞って調べてみることをおすすめします。
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