人材育成の方法論は日々新しい情報が入ってきます。最近多く聞くようになった「振り返り」や「リフレクション」という言葉も、そのうちの一つです。
振り返りをうながす方法の一つがフィードバックです。部下指導をしている方は日々フィードバックをしていると思いますが、今回は部下や新人の振り返りをうながすフィードバックの方法についてご紹介します。
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人材育成の方法論は日々新しい情報が入ってきます。最近多く聞くようになった「振り返り」や「リフレクション」という言葉も、そのうちの一つです。
振り返りをうながす方法の一つがフィードバックです。部下指導をしている方は日々フィードバックをしていると思いますが、今回は部下や新人の振り返りをうながすフィードバックの方法についてご紹介します。
本記事の要約
最近の人材育成においては「内省」が重視されています。内省とは簡単な言葉で言えば振り返りです。
内省では自分が感じたことに気付くこと、起きた事実や変化を客観的にとらえることが重要です。そして何より、気付きを次に活かすことが重要です。
内省を行う事で学んだ知識や経験が深く定着することから、振り返りが重要視されています。
内省を行う際に重要な方法の一つが「フィードバック」です。
入社したての社員は、日々忙しさに追われていると一人ではなかなか振り返りの機会を設けることは難しいものです。
そこで振り返りの時間を作るために「フィードバック」を行なうことで振り返りの効果を高めます。新入社員自身は出来事を覚えていないケースが多いのでOJTの担当もしくは上司の方が適切なフィードバックを行う事が大切です。
次に、客観的にフィードバックを行う上で注意すべき3つのポイントをお伝えします。
大切なことの一つめは「事実を通知する」ことです。「あなたはこのような時にこういった行動をとりました」という風に事実の通知を行います。例を挙げると、
・「あなたが営業先に間違った見積もりを出したのでお客さんからクレームを受けました「
・「あなたは◯月◯日に遅刻しています』」
といった事実を通知してあげる事が振り返りの第一歩になります。
しかし、一方的に事実を通知するだけでは相手側は、「ああ、そうですか」と思うだけで終わってしまいます。そこで、事実通知をした上で、本人に「納得感」を持たせる事が重要です。
先程の例を使うと、『あなたが見積もりを間違えたのでクレームになりました』と事実通知をするだけだと、新入社員はこう考える場合があります。
『そんなこと言われても自社の見積もりシステムが悪いのではないか…』
『忙しい業務量をこなしているのだから一つくらいミスがあっても仕方ないのでは…』
『業務量を調整できない上司のせいではないか…』
などなど。
口にはしませんが心の中では思っている場合かもしれません。
このように思われてしまうと事実通知をしただけでは相手側は腹落ちせず、次から気を付けようとか次からどう改善しようという事を考えなくなります。
この時大切になってくるのが相手の「納得感の醸成」です。
「あなたはミスをしましたよ」という事実通知だけでなく、
「あなたのミスの背景に何があったのだろう?」
「その時の行動はどういう風であったのか」
など、状況整理をしてあげることで、新入社員の気付きを促します。
例えば、
「この瞬間にチェックをしておけばミスしなかったのに自分はチェックしてなかった」
「この場面で一言上司に資料を確認してくださいと言えばよかったのに自分は言わなかった」
など、未然に防げたはずのミスがわかるようになります。
一方的に事実を通知するだけでなく、ミスの背景を整理してあげる事で相手に気づきを与え納得してもらう事がフィードバックを行う上で非常に重要になります。
大切なことの二つめは、フィードバックだからといって話しすぎない事です。
「納得感の醸成」は非常に大変なので、フィードバックをする際に相手が納得するまで一方的に話したくなってしまう気持ちはよくわかります。
しかし、一方的な情報伝達だけでは納得感は生まれにくいものです。何は納得できて、何は納得できていないのか、傾聴しながら、本人が一つ一つ腹落ちできるような順番やスピードでフィードバックを行なっていく事が重要です。
大切なことの三つめは、フィードバックを行う際に相手を論破しようとしないことです。
仕事のできる上司の方ほど、相手を論破しようとしてしまいがちです。
新入社員や部下にぐうの音も出ないほど「お前の言ってることは間違ってる」「論理的におかしなことを言っている」などと細かい指摘をしてしまうケースもあります。
このようなケースは、新入社員や部下からすると、上司の言ってることは正論だけど、どうも納得できず結果的に腹落ちせずにフィードバックを終えてしまうことになってしまいます。
フィードバックを行う際には、納得感を醸成する事が重要ですので、相手が腹落ちしていなければフィードバックの本来の目的を果たすことはできません。
正論を振りかざして相手を論破してしまうことは、実はフィードバックにおいては効果的ではないのです。仕事ができる方ほど相手を論破しがちですが、仕事はできるが部下との関係性が良くない方や、部下育成が苦手だという方がもしいらっしゃるのであれば、正論を振りかざしていないか今一度、皆さんが振り返りをしていただきたいポイントです。
人材育成において振り返りが重要なことはわかっていただけたと思います。
振り返りをうながす手段の一つがフィードバックです。フィードバックは簡単に見えて難しいスキルですので、Aさんに通用したフィードバックがBさんは通じなかったり、一年前はAさんに通じた方法が今は同じフィードバックをしても響かないという状況が多々あります。
効果的なフィードバックというのは、そのときの状況に応じて変わってきます。ですから、フィードバックをする側も日々鍛錬が必要です。
効果的なフィードバックを行っていくためには、自分のフィードバックについてのフィードバックをもらうことだと言われています。
最初は多少失敗してもいいので意識すべきポイントをおさえながら、フィードバックをする相手と信頼関係を築きながら、時には相手から自分のフィードバックへのフィードバックをもらいながらスキルを少しずつ向上させていきましょう。