大卒新卒者の入社後3年以内離職率の最新データが厚生労働省から発表されました。

 

32.3%

 

昨年比0.1ポイント減少とのことです。個人的には昨年よりも微増かなと思っていたのですが、結果的には0.1ポイントながら減少していました。今回の3年以内離職率の対象は平成24年(2012年)3月卒の方々なのですが、この年代は入社一年目の離職率は13.0%と平成23年卒よりも1.3ポイントほど少なかったことが影響しているのかもしれません。
言い換えれば、2年目、3年目になってから辞めた人が前年に比べると少し多かったということもあります。

このブログやその他セミナーなどで何度も言っていることですが、新卒の3年以内離職率が約3割というのは20年以上も続いている現象であり、特に最近になって起きているわけではありません。ですから「ゆとり教育によって根性がなくなって、会社に入ってもすぐ辞めるようになった」という意見には何の根拠もありません。「企業と学生のミスマッチ」が話題になりますが、これ自体も20年前からあった可能性も高いと言えるわけです。

 

また、従業員規模別でみると従業員数が増えれば増えるほど3年以内離職率は低くなる傾向にあります。これも例年と同じ傾向です。「中小企業は顔の見えるコミュニケーションが可能だから離職率が低い」なんていうのは幻想なのかもしれません。ただ、5人未満と30~99人の企業では昨年より微減だったのに対し、500人~999人の企業では昨年比0.6ポイント増になっていました。

 

企業の業種別では、ほとんどの業種で大きな変動はありませんでしたが「運輸業・郵便業」が昨年比で3.9ポイントの上昇となっていました。この業界はあまり詳しくないのですが、突然これだけ上昇するということは何か理由がありそうなので、引き続き調べてみます。自分の宿題です。
ちなみ業種別のトップは「宿泊業、飲食サービス業」で53.2%。全業種で唯一の50%越えです(「その他」を除く)。大手の飲食店で「3年以内離職が50%!」とニュースに出ていても、実は業界平均です。もっとも、前出の従業員数が多い方が3年以内離職率が低いことを考えると、飲食店でも大手の平均は50%よりも低い可能性も考えられます。このあたりは元の個別データをあたれないとわかりません。


というわけでダラダラ書きましたが、今年の3年以内離職率については「昨年と大きな変動なし」というのが私の結論です。むしろ長期的にみても20年も大きな傾向に変動はないので、早期離職についてはもっと個別の中身に注目すべきフェーズに来ていると思います。安易に「ミスマッチが原因だ」と言われますが、そもそもミスマッチとは何か?その中身は?原因は?ということろに踏み込む必要があるでしょう。
そして何より、大卒の3割が3年以内で辞めるという今の状況は、本当に改善すべき事象なのかどうかという点にもついても、もっと議論されるべきです。
私がいつも言っているのは「3年以内離職は今の水準でもいいけど、ネガティブ退職はゼロにすべきだし、できるはずだ」ということ。私が早期離職について独自に調査をする中で「早期離職者の約8割は退職企業に対してネガティブな感情を抱いて辞めている」ということがわかりました。さらにネガティブな退職の方の中の約2割がうつ病などの精神疾患を発症しています。だからネガティブな退職をなくす努力を企業も行政も個人も行うべきだと思うのです。

 

とりあえず今日はここまで。

 

厚生労働省の発表データはこちらです。
http://www.mhlw.go.jp/topics/2010/01/tp0127-2/24.html