企業の人材育成において「背中を見て育て!」は、通用しなくなったといわれます。
しかし、本当に「背中を見て育て」は通用しないのでしょうか?
私たちは背中を見て育てという方法自体が悪いわけではないと考えています。今回は、「上司の背中を見て育て」が通用しなくなっている理由を解説しながら、中堅社員の育成のポイントについてお伝えします。
本記事の執筆者
企業の人材育成において「背中を見て育て!」は、通用しなくなったといわれます。
しかし、本当に「背中を見て育て」は通用しないのでしょうか?
私たちは背中を見て育てという方法自体が悪いわけではないと考えています。今回は、「上司の背中を見て育て」が通用しなくなっている理由を解説しながら、中堅社員の育成のポイントについてお伝えします。
本記事の要約
「背中を見て育て」という育て方は現代では通用しないと言われます。その理由はなんでしょうか?
背景には、新入社員・若手社員が変化したと言う方も多いです。価値観が多様化し、お金や仕事に対する考えが一昔前とは変わったことが影響しているかもしれません。つまり、「背中を見る側」の変化が一因として挙げられます。
一方で、管理職や上司先輩などの「背中を見せる側」の変化は、どうでしょうか。
私たちは、背中を見て育てという教育が成り立たなくなった背景には、「背中を見せる側」の変化が大きく関係していると考えています。
高度経済成長やバブル期であれば、先輩上司の姿を見て「先輩たちのように頑張っていれば、いつか給料が上がり生活が豊かになるんだ」と思った若手社員が多かったはずです。しかし、現代においては年功序列型で賃金がどんどん上がっていく会社は少なくなりました。一方で、若くても優秀な方であれば「一年目から年収1千万を出す」という会社も出てきています。
つまり、時代が変化したことにより「背中を見てかっこいいと思える先輩たちが減ってしまっている」ことが大きな要因ではないでしょうか?
私たちカイラボでは、新人教育を担当されている方に向けた企業研修の機会を年間を通じていただいています。
研修の中では、OJT担当者の方や管理職の方とお話をさせていただくことも多いのですが、その中で多く聞かれる質問があります。
「最近の若い人たちのモチベーションの源泉が分からない」
という質問です。
新人教育を任されたものの、「若手社員がどうすればやる気になってくれるのかわからない」といった悩みをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
カイラボの研修でも、よくこんなやりとりがあります。
最近の若い人たちが何をモチベーションにしてるかわかりません。
そうですよね。
では、あなたの仕事のモチベーションはなんですか?
え?いや、あの、その・・・
モチベーションっていうか、仕事をする理由は、そりゃ、お金ですよ。家のローンを返さなきゃならないから。
仕事のモチベーションが語れない上司や、「ローンを返すために仕事をしている」という上司に若手社員はついていきたいと思いますか?
・・・
自分のモチベーションや自らの仕事への思いをしっかりと言語化できる管理職の方が多くはないのが、今の日本企業の実態ではないでしょうか?
「背中を見せる側」の先輩上司の多くが、自分のモチベーションがはっきりとしていない、仕事への思いを言語化しきれていないのです。
上司や先輩社員が仕事のやりがいを感じ、若手社員に伝えることができない状況では新入社員の方がモチベーションを高く保つことは難しいでしょう。
若手社員の方々のモチベーションを引き出すには、まずは上司先輩の仕事へのモチベーションこそ見直すことが大切です。
「背中を見せ育て!」だけでは、確かに人材育成はうまくいかないでしょう。
一方で、先輩上司が背中を見せられる状態なのか、背中を見せられる中堅社員や管理職がいるのか、という点は一度考えてほしいポイントです。
先輩上司の方の能力やスキルをすぐに上げるのは難しいかもしれませんが、仕事への思いやモチベーションに対する取り組みはすぐにでも始めれられます。
具体的な取り組みとしては
・自分の仕事への思いをしっかりと言語化する
・社内のメンバーにその思いや考えを伝える
などの取り組みは可能です。
先輩上司が自らの仕事への思いやモチベーションを伝えていくことで、新入社員の方にも思いや会社の価値観は伝わっていきます。また、仕事のモチベーションを周りに伝えるいくことが社内文化として定着することで、若手社員の方のモチベーションの源泉がどこにあるかもわかってくるかもしれません。
さらには、仕事への考えや思いを同じくする方が会社に集まってきます。
新入社員の定着率向上の対策としては、福利厚生面の充実や採用フローの改善など様々な対策があります。
ただ、対策として見落とされがちなのが「新入社員にとって魅力的な中堅社員の育成」です。
「背中を見て育て!」という教育自体は古くなってしまったかもしれませんが、若手社員が先輩上司の姿を見ていることは今も昔も変わりません。
魅力的な中堅社員の育成を意識することで、社員の方々が新入社員の方々が活躍したくなる定着したくなるような会社をつくっていただきたいです。