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早期離職の三大要因の一つ「貢献実感」とは何か?

私たちカイラボでは、これまで数百名の早期離職者の方へインタビューやアンケート調査をしてきた結果から、早期離職の三大要因として以下の3つを挙げています。

1.存在承認の不足

2.貢献実感の不足

3.成長予感の不足

今回は、この三大要因の中から「貢献実感」とは何か?についてお伝えします。

「自分の仕事が誰かのためになっていると思えなくて辞めました」

2012年から早期離職者の方々へインタビューを重ねていますが、「貢献」という言葉が多く聞かれるようになったのは最近になってからです。

カイラボでは、『早期離職白書』を2013年から制作しており、これまで2013年・2016年・2019年と3回発行してきましたが、「貢献実感」というワードは、2013年、2016年の白書には、出てきていません。

しかし、色んな方にインタビューをしていく中で、近年「貢献」という言葉が多く聞かれるようになってきたため、2019年の早期就職白書から「貢献実感」を早期離職者の三大要因の一つとして取り上げています。

早期離職の三大要因について詳しく知りたい方はこちらの記事をご覧ください。

貢献実感とは何か?

貢献実感とは、自分の働きが、誰かの役に立っていると実感できるかどうかです。
自分の仕事が誰かのためになっていると感じられないことは、貢献実感の不足につながります。例えば、自分が会社や同僚に貢献していると感じられない方は、「社内への貢献実感」が不足していると言えます。または、自分の売っている商品がお客様へのためになっていないと感じる方にとっては「お客様への貢献実感」が不足していると感じます。

貢献実感は「誰に貢献しているか」がカギ

仕事を通じて「誰に貢献したいか」は人によって異なります。

例えば、仕事を通じた社会貢献に対して強い思いを持っているいる方もいれば、自分が担当しているお客様の役に立てているかどうかを大切にする方もいます。また、職場のメンバーや会社組織に対して、自分が貢献できているかどうかを重要視しているというケースもあります。

そのため、人事担当者の方や経営陣の方が「社員が貢献実感を感じているかどうか」を確認する際には、社員の方々が「誰に」対する貢献の意識を持っているかを注意して考えてみる必要があります。

「貢献実感不足」の事例

ここからは、実際にカイラボがインタビューした、「貢献実感の不足」の実例を紹介します。

社会への貢献イメージがつかずに早期離職した例

1つ目の事例は社会への貢献イメージがつかずに辞めたAさんです。

Aさんが入社したのは全国にチェーンを展開する大手のホテルでした。

ホテルマンとしてやりがいをもって働いていましたが、入社して一年目に起こった東日本大震災に対する会社の対応に違和感を感じ、その会社を辞めたそうです。

東日本大震災では東北を中心として多くの地域が被災しましたが、その当時、ホテル業界全体で、被災者への支援としてさまざまな支援を行っていました。しかし、Aさんが勤めていたホテルでは被害がそれほど大きくなかったこともあり、震災に対して支援やサポートを全く表明しませんでした。

Aさんは、被災地に対して何もしない会社に対して違和感を感じ、自社としても何らかの支援をしたいと上司に申し出たそうです。

しかし、上司からは

「うちの会社はそんなに大きな被害もなかったし、特に支援とかはやる必要がない。社会貢献というけど、利益上げて納税してるんだから、うちだって社会貢献してるでしょ

と答えが返ってきました。

この一言がきっかけとなり、Aさんは自分の会社に対して違和感を感じるようになりました。そこから、雰囲気や社内制度など他のことについても、目につくようになってきて辞める決意をしたそうです。

2.顧客への貢献イメージがつかずに早期離職した例

2つ目の事例は、顧客への貢献イメージがつかずに辞めたBさんの事例です。
Bさんは大手の証券会社に勤めており、株式や投信などの金融商品をお客様に売る営業の仕事をしていました。

大手証券会社ということもあり、社員には厳しいノルマが課せられ、ノルマが達成できなければパワハラに当たるような暴言や時には暴力もあったそうです。Bさんは、そんな雰囲気の中でなんとかノルマを達成しようと頑張ったのですが、なかなか売れませんでした。

売上がなかなか出せないことを上司に相談したところ「お客さんが儲かるかどうかに疑問をもったら、それをねじ伏せるのが、お前の仕事だろ」と言われたそうです。

株などの金融商品はお客様が必ず得するとは限らず、場合によっては数百万から数千万の損失を出す可能性もあります。そうした金融商品をお客様を言いくるめながら売っていくことに以前から違和感をもっていましたが上司の一言をきっかけに、「自分の仕事は、本当にお客様の役に立っているだろうか」と疑問を抱くようになりました。

仕事を通じてお客様への貢献を感じられなくなったBさんは、パワハラなどにも嫌気がさし早期に会社を離職しました。

上司の「納税しているから社会貢献している」は最大の悪手

ここからは、どうすれば社員の貢献実感が高まるのかについてお伝えしていきますが、具体的な対策の前に、やってはいけないNGパターンについて解説させていただきます。

やってはいけないNGパターンとして知っておいていただきたいのが「企業としての社会貢献を伝えることで、社員の貢献実感を高めようとしてしまう」ことです。

例えば、新人研修や企業説明会で

・うちの会社は、これだけ利益を上げて納税しているから社会に貢献しているんだ

・雇用をこれだけ生み出しているのだから、大変な社会貢献をしている。

という内容を就活生や新入社員に伝えたとします。

納税や雇用の創出が社会の役に立っていることだとは思いますが、残念ながら「企業としての社会貢献」を伝えても就活生や新入社員の胸にはそれほど響きません。

なぜなら、「会社が社会貢献していること」ことと「働いている一人一人が貢献の実感を得られる」ことはまったく別の問題だからです。

そのため、自社企業が社会の役に立っていることをいくら説明しても、社員の貢献実感を高めることには繋がりません。

普段の企業姿勢から社員の貢献実感を高め

では、どのようにすれば社員の貢献実感は高まるでしょうか。

私たちカイラボでは、

日常からのコミュニケーション

普段からの企業の姿勢

の二つが大切だと考えています。

日常からのコミュニケーションとは、何かをやってもらった時に「ありがとう」「助かったよ」って言ってあげることです。普段から感謝の言葉をかけあうような雰囲気をつくることで、職場への貢献実感を高めることに繋がります。

普段からの企業の姿勢とは、例えば「前例がないけど、社会に貢献できることだったら、新しく取り組んでみよう」という意見が通るような企業風土を培っていくことです。

社員の貢献実感を高めたいのであれば、こうした普段からの姿勢や社員への接し方を意識していくことが重要です。

みなさんの企業でも、一度「自分の会社は貢献実感を高める取り組みができているのかどうか」を考えながら、早期離職対策を進めていってみてください。

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編集部
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早期離職対策の株式会社カイラボ 編集部です。
採用、育成、定着の3つの観点から様々な情報をご提供します。